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注意力はどう測る? 反応時間、フランカー課題、視覚探索

2026年10月16日 更新 · 4分で読めます

要点

心理学者は、短い課題で注意力を測ります。覚醒度にはランダムなタイミングで出る信号への反応時間、気が散るものを無視する力にはフランカー課題、ターゲットを見つける力には視覚探索、反応を抑える力にはGo/No-Go課題を使います。スマホではタップのたびにおよそ50〜100 msの遅れが加わり、その大きさは端末によって違います。そのため、スマホでの結果は研究室の基準値ではなく、自分の以前の結果と比べましょう。

§ 1代表的な注意課題

課題することわかること
精神運動覚醒課題(PVT)ランダムなタイミングで信号が出たら、すぐにタップする覚醒度。ごく遅い反応(ラプス)は睡眠不足で増える
持続的注意反応課題(SART)まれに出る1つのターゲット以外の、すべての数字に反応する持続的注意と、自動的な反応を抑える力
フランカー課題周りの矢印に惑わされず、真ん中の矢印の向きを答える気が散るものを無視する力:矢印の向きが食い違うときに余分にかかる時間
視覚探索ほかの項目の中にターゲットがあるかどうかを判断する注意がどれだけ効率よく対象を選べるか:項目が1つ増えるごとのコスト
トレイルメイキング円を順番につなぎ、次に2つの系列を交互につなぐ速さと、2つの系列の切り替え
コルシ・ブロックブロックが光った順番を再現する空間的な作業記憶の容量(スパン)

どの課題も、私たちが「注意」と呼ぶもののごく一部を切り出しています。注意全体を測れる課題はなく、どれも単独では診断になりません。

§ 2反応時間と覚醒度

精神運動覚醒課題は、最も単純で、最も感度の高い課題の1つです。ランダムな待ち時間のあとに信号が出て、できるだけ速く反応します。研究室での標準版は10分間で、3分間版のPVT-BはBasnerら(2011)によって開発されました。研究者は、反応の速さと、ラプス、つまり疲れているときに増える非常に遅い反応に注目します。

短縮版は自分の変化を追うのに役立ちますが、研究室でのフル版の代わりにはなりません。Antlerら(2022)は、3分版と10分版の結果の一致度が低いことを見出しました。

§ 3フランカー課題と視覚探索:見るのは速さではなく「コスト」

EriksenとEriksen(1974)が考案したフランカー課題では、中央の矢印の向きを答え、周りの矢印は無視します。周りの矢印が逆を向いていると反応が遅くなり、その差がフランカー効果です。視覚探索では、青いバーの中からオレンジのバーを1本見つけるのは、バーが何本あっても速くできます。一方、色と向きの組み合わせで決まるターゲットを探すときは、項目が1つ増えるごとに時間が長くなります(TreismanとGelade、1980;Wolfe、1998)。

これらの課題が示すのは「差」です。葛藤のコスト、1項目あたりのコストです。スマホでは、これがかえって利点になります。

§ 4スマホと研究室で結果が違う理由

研究室では、タイミングがわかっている機器を使います。スマホでは、タッチしてからアプリがそれを記録するまで、またアプリが刺激を描画してから画面に表示されるまでに遅れが生じます。Pronkら(2020)は、ロボットの指と光センサーを使ってこれを測定しました。Androidでは、反応時間が平均で約70 ms長く見積もられていました。端末全体で見ると、余分な遅れはおよそ50〜100 msで、スマホごとに異なります。

  • スマホで測った反応時間の絶対値は、研究室の基準値とも、他の人のスマホでの結果とも比べられません。
  • 遅れは1台の端末ではほぼ一定なので、同じスマホでの自分の結果なら、時間を追って比べることができます。
  • フランカー効果のような条件間の差では、遅れの大部分が打ち消されます。正確さや記憶の容量も同様です。

§ 51回の結果では足りない理由

短い課題の結果には、ばらつきがあります。成績は、睡眠、時間帯、練習、やる気によって変わります。差のスコアは端末の遅れに左右されにくい一方で、セッションごとのばらつきは単純な速さより大きくなります(Hedge、Powell、Sumner、2018)。似た時間帯にテストを繰り返し、1回のスコアではなく、自分の推移といつもの範囲を見ることで、結果はより意味のあるものになります。

§ 6「脳トレ」についてひとこと

注意課題を練習すれば、その課題はうまくなります。Simonsら(2016)の大規模なレビューによると、脳トレプログラムで上達するのは練習した課題と、ときに密接に関連した課題であり、日常の認知機能が向上するという証拠はほとんどありませんでした。スマホのテストで成績が上がっていくのはテストについての事実であって、日常生活での注意力が変わった証拠ではありません。

よくある質問

スマホのテストで注意の問題を診断できますか?

いいえ。スマホでの短い課題は臨床検査ではなく、ADHDやその他の状態を診断することはできません。注意力が気になる場合は、資格のある医療の専門家に相談してください。

正常な反応時間はどれくらいですか?

研究室での研究では、十分に休んだ若い成人の単純反応時間は、250 ms前後であることが多いです。スマホでは端末の遅れのために測定値が長くなるので、代わりに自分の以前の結果と比べましょう。

別のスマホだと反応時間が違うのはなぜですか?

スマホにはそれぞれ、タッチスクリーン、ソフトウェア、ディスプレイから生じる独自の遅れがあり、およそ50〜100 msです。結果は、同じ端末どうしでだけ比べましょう。

これらのテストを練習すると、注意力は上がりますか?

上がるのは、テストそのものの成績です。脳トレゲームで日常生活の注意力が上がるという証拠は、弱いものです。

出典

研究はDOIリンクつきで引用しています。この記事の数値は、これらの出典にもとづいています。

  1. Basner M, Dinges DF (2011). Maximizing sensitivity of the psychomotor vigilance test (PVT) to sleep loss. Sleep 34(5):581–591. doi:10.1093/sleep/34.5.581
  2. Basner M, Mollicone D, Dinges DF (2011). Validity and sensitivity of a brief psychomotor vigilance test (PVT-B) to total and partial sleep deprivation. Acta Astronautica 69:949–959. doi:10.1016/j.actaastro.2011.07.015
  3. Antler CA, Yamazaki EM, Casale CE, et al. (2022). The 3-minute psychomotor vigilance test demonstrates inadequate convergent validity relative to the 10-minute psychomotor vigilance test across sleep loss and recovery. Frontiers in Neuroscience 16:815697. doi:10.3389/fnins.2022.815697
  4. Robertson IH, Manly T, Andrade J, Baddeley BT, Yiend J (1997). “Oops!”: Performance correlates of everyday attentional failures in traumatic brain injured and normal subjects. Neuropsychologia 35(6):747–758. doi:10.1016/S0028-3932(97)00015-8
  5. Eriksen BA, Eriksen CW (1974). Effects of noise letters upon the identification of a target letter in a nonsearch task. Perception & Psychophysics 16:143–149. doi:10.3758/BF03203267
  6. Treisman AM, Gelade G (1980). A feature-integration theory of attention. Cognitive Psychology 12(1):97–136. doi:10.1016/0010-0285(80)90005-5
  7. Wolfe JM (1998). What can 1 million trials tell us about visual search? Psychological Science 9(1):33–39. doi:10.1111/1467-9280.00006
  8. Pronk T, Wiers RW, Molenkamp B, Murre J (2020). Mental chronometry in the pocket? Timing accuracy of web applications on touchscreen and keyboard devices. Behavior Research Methods 52:1371–1382. doi:10.3758/s13428-019-01321-2
  9. Hedge C, Powell G, Sumner P (2018). The reliability paradox: Why robust cognitive tasks do not produce reliable individual differences. Behavior Research Methods 50:1166–1186. doi:10.3758/s13428-017-0935-1
  10. Simons DJ, Boot WR, Charness N, Gathercole SE, Chabris CF, Hambrick DZ, Stine-Morrow EAL (2016). Do “brain-training” programs work? Psychological Science in the Public Interest 17(3):103–186. doi:10.1177/1529100616661983